スマートフォン販売の適正化に関するガイドライン公表 下取り増額も規制へ
桜の便りも聞こえつつも、不安定な春の気候のためか、寒い日もみられる今日この頃。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
皆様にとっては厳冬の訪れを予感させる便りがとどきました。
「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)」等に関する意見募集の結果
総務省は、「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)」等について、平成28年2月2日(火)から同年3月3日(木)までの間、意見募集を行いましたのでその結果とともに、ガイドラインの策定等について公表します。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban03_03000264.html
総務省では、2月に公表された新ガイドラインの案についてパブリックコメントを募集していましたが、3月初旬に締め切られ、25日に公表となりました。
今回のガイドラインに違反した場合、電気通信事業法に基づく業務改善命令の発動も謳われており、法的拘束力に基づくものとみていいでしょう。
大きなポイントとして挙げられるのは、各社が行っている、MNP加入時の下取り増額について、実質的なMNP転入時の購入補助とみなす指針が追加された点です。
端末の引取りを条件としたスマートフォンの購入代金の割引等(当該引取りに係る端末の中 古市場における一般的な買取価格を著しく超える場合は、当該一般的な買取価格を超える部 分を除く。)
これについては、パブリックコメントにてNTTドコモが指摘した点を反映した形となっています。
執筆時点現在(3/30)、auとSoftBankではMNP転入者向けに、他社androidスマートフォンについて一律21,600円の割引を行っています。一方、機種変更の場合は、auは一律3,000円、SoftBankは一部機種に限り2,400円としており、差額分については購入補助とみなすこととなりました。
また、各社学割施策にて実施している、端末購入を条件とした通信容量の付与についても、MNP転入時の購入補助とみなすこととなりました。
スマートフォンの購入を条件とした月々の利用可能データ通信量の増量については、データ通 信量の増量を受けた後のデータ通信量を利用する場合に要する最も低廉な料金額との差額を、端末購入補助に含むものとする。
これについては、ソフトバンクより反対意見が出ており、
「月々の利用可能データ通信量の増量」については、特にデータ利用の多い学生をはじめとする若年層をターゲットに電気通信事業者各社によるサービ ス競争がまさに始まったところであり、事実上データ量あたりの単価の引き下げがなされています。このようなサービス競争を通じてもたらされる効果は、 利用者の負担軽減・利便性向上を掲げる行政の要請とも合致している認識です。
あくまで民間主導においてサービス改善がはかられていると主張しています。
このように、2月以降逃げ道的に行われてきた各種割引施策についても、パブリックコメントによる指摘でほとんど規制対象となっており、4月からの販売環境はより一層厳しさを増すことが予想されます。
パブリックコメントは、NTTドコモやソフトバンクといったMNO、MVNO各社、ソフトバンクやauでキャリアショップを展開するベルパーク、スマートバリューでお馴染みのCATV事業者ジュピターテレコムなどが行っており、業界のプレイヤーが積極的に参画していた模様です。
なお個人でのパブリックコメントでは、多数の反対意見が寄せられており、市場原理に基づかない販売規制に対する疑問の声が寄せられていたようです。
携帯料金値下げのかけ声とともに始まった今回の販売規制ガイドラインの策定ですが、半年に及ぶ検討を経て、いよいよ4月より新規制下での販売体制が始まることとなります。
しかし、販売体制における「値下げ」の規制にのみ多くの力点がおかれ、実際の「ランニングコスト」に関する議論が置き去りとなってしまったことは見逃せません。
各社ライトユーザー向けの低通信プランを公表し、また廉価プランの契約条件の緩和を行うなど、一定の改善は見られていますが、いまだ抜本的な改革が行われたわけではありません。
「MNP転入者向けの過剰な割引を廃止すれば、携帯料金の値下げにつながる」という主張もありましたが、果たしてそうなのでしょうか。
むしろ、今まで「実質0円」の恩恵にあずかってきたのは、大多数を占める2~3年おきに機種変更を行うユーザーであり、一部しかいないMNP転入を繰り返すユーザーや、長期に渡って同じ端末を使い続けるユーザーにのみ焦点を当てた議論が行われたことは、残念としか言いようがありません。
本気で携帯料金の値下げを目論むのあれば、端末と通信回線の分離という命題を避けて通ることはできません。しかし、今回のパブリックコメントへの回答において、総務省は
本ガイドラインは、利用者間の著しい不公 平を生じないよう、端末を購入する利用者に 合理的な額の負担を求めることを目的とする ものであり、スマートフォンの端末と通信契 約の販売の分離を目的とするものではないこ とから、ご意見については、今後の参考とし て承る。
と、最初から議論の俎上にも上がっておらず、思考停止に陥っているとしか言いようがありません。
残念ですが、4月からの携帯業界に訪れる展望は暗いと言えるでしょう。
なお、今回のガイドラインにおいて
なお、本ガイドライン案は、携帯電話事業者の端末購入補助の適正化を対象としており、販売店等が独自に行う特典付与等を制約するものではない。
とされており、今後は販売店の創意工夫が大きなウエイトを占めてきそうです。
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